日本におけるコントラクトブリッジのルール
そういえばこれの話もしてなかったっけと思いつつ。 part2
概要
ブリッジというのはペア競技である。それは否が応でも承知していることだろう。
そしてハンドの強さというのもパートナーの手次第で変わって(ry
2021年12月現在の情報に修正しています。
詳細
ハンドブック、というものをご存知だろうか。
正式名称は「JCBL HANDBOOK」といって、毎年1回発行されている。
ここに書かれているのがJCBL、すなわち日本コントラクトブリッジ協会におけるブリッジのルールなのである。
以下、ここに書かれているもので代表的なものを挙げていこう。
アラート規定
コンベンションや特殊なトリートメント(相手方が一般的にその意味を予測できないかもしれない全てのコール)は、
相手方が拒否した時を除きアラートをする義務があります。
アラートの手順を取り決める目的は、テーブル上で双方のペアがあらゆるオークションに対して
平等に情報を得ることができるようにすることにあります。
また、この説明により得られた情報は相手方のためのものであり自分たちのために利用してはなりません。
(出典:JCBL HANDBOOK 2015 p.64)
具体的には、
- アラートは相手方に伝わらなければいけない(伝わっていなければアラートを出しても出したとはみなされない)
→無言でアラートカードを一瞬だけ出すなど相手がおよそアラートを認知できない方法でアラートしてはいけません。
- アラートはしてはいけないもの(後述)を除き、全てアラートしなければならない
- アラートすべきか迷った時もアラートする
- ただし「微妙だからアラートします」なんて言ったら不正な情報だからダメ。普通と同じようにアラートする
- もちろん首傾げたり、自信なさそうにアラートするのもダメです。常に堂々とアラートしてください。
- アラートすべきか迷った時もアラートする
- オープナーのリビッド以降で、かつ3NT以上のビッドにはすぐにアラートしてはいけない(*1)
- 1H-4C(スプリンター)などはオープナーのリビッド以降ではないので本来はアラートする必要がある
- 3NT以上のビッドへのアラートは、すべてのオークションが終わった後に「ディレイドアラートです」と言ってアラートする
- 15~18点の範囲に収まらない1NTオープンには、プリアラート(オークションが始まる前にアラート)する必要がある
- このほかにもプレシジョンなどビッグクラブ、ビッグダイヤモンド系もプリアラート対象になりました。
(*1)Alert規定の変更により4C以上→3NT以上となった
アラートしてはいけないもの
誰もが使っている同じコンベンションには、アラートする必要がないものがあります。このようなものに関してはアラートしても特に調整されることはありません。誰もが同じものを使っているので、アラートする必要がないからです。
- 強いArtificial 2Cとそれに対する2Dレスポンス
- 強いArtificial 2Cとは、20点以上のany hand、ないし3.5クイックトリック以上かつメジャーで4,マイナーで3ルーザー以内のハンド
- つまり、京大で使っている「9+ tricks」を示す2Cにはアラートが必要
- 強いArtificial 2Cとは、20点以上のany hand、ないし3.5クイックトリック以上かつメジャーで4,マイナーで3ルーザー以内のハンド
- ステイマン
- ただし1NT-2C-2M-2NTとなったときにメジャーがどちらも4枚ない可能性がある場合はアラート対象。
- bypass diamond
- ウィーク2に対する2NTレスポンス
- Ogust, Featureなど。INV以上を保証しない場合はアラートが必要
- ブラックウッド、ガーバー
- アンユージュアル2NTなど
上記以外のコンベンションは原則アラートが必要だと認識しておきましょう。
また、アラート対象はコンベンションだけでなく、トリートメントにも適用されます。たとえば
1C-1H-1NTの1NTが♤4枚の可能性がある場合(bypass 4card major)
1C-1H-1Sが♧5枚もしくはアンバランスハンドを示唆している場合(additional information)
1H-1NT-2Cが♧2枚の可能性がある場合(short in natural)
が代表的なアラート対象です。これはいずれも京大でスタンダードに採用しているものです。
キュービット、ダブル、リダブルに関してはアラートしてはいけないものであり、アラートした場合は調整される可能性があります。また、リードとシグナルに対してもアラートを出すことはできません。
してはいけないこと
ビディングにおいて、してはいけない(したらペナルティーを食らう)ことがあります。
マナーとかではないので、覚えておくこと。
出てくる可能性が高いものを以下に列挙しておく。(順番は関係ない)
コンベンション、ビッド
- ウィーク2において、オープンするスーツの枚数+HCPが10未満、ないしスーツの枚数が4枚以下であること
- 3の代以上であればペナルティはない
- 9HCP以下のハンドでの1NTオープン
- 1NTの点数レンジの取り決め下限が14点以上ならサイキックとみなし、ノーペナルティ
- 9HCP以下のハンドでのフラナリー2D、プレシジョン1C/1D/2D、ショート1C、
- オープンしたスーツを含む2スーターを示す2レベル以上のオープン、
- 5-4以上のマイナーを示す2NT以上のNTオープン、3スーターを示す2C/2Dオープン
- オープンしたスーツを含む2スーターを示す2レベル以上のオープン、
- 7HCP以下のハンドでの3rd/4th handでの1Mオープン(ドゥルーリーが発生する時)
プレイ中の行い
- オポーネントのプレイ、ディフェンス、ミスを批判する
- オポーネントの話し合いに口を挟む
- 聞いていて不快になるような言動、動作
- パートナーとの口論やオポーネントに対する当てこすり、聞きたくないような自慢など
他にスコア調整の対象となるようなもの(手順違反)
- 同じコールに対する違った態度、言動
- 同意や不満を示す言動
- 終了していないトリックに対する勝ち負けの意志の提示
- カモン・ノンカモンの態度での提示
- 故意なブレイク・イン・テンポ
- 不必要な退席(ダミー時のお手洗い等なら良いが、喫煙などはNG)
- 指で数える行為
- コールを決めてないのにビディングボックスに手を伸ばす/触れる行為
- 他人のカードに触れる
- ディレクターを通さない勝手な裁定
- STOPやALERTによる情報交換/意識喚起
マナー
これは別に明文化された規定ではないが、当然のごとくされるべきものである。
紳士淑女のゲームであるため、これらのルールに従わないものは最悪出禁になる恐れもある。
サイキック
サイキックすることは戦法として規則により認められていることであるが、
レベル/技量が明らかに下のプレイヤに対して行うサイキックは、
スポーツマンシップに反する行為であることと認識すること。
(JCBL HANDBOOK 2015 p.82)
プレイ外での行い
- 試合会場には試合開始30分以上前には着く
- テーブルについた時と離れるときには挨拶を。
- 「お願いします」「ありがとうございました」「お待たせしました」「遅れてすみません」など。
- 自分のことだけを考えない。テーブルに座っているのは1人でも2人でもなく4人である
- 結果にこだわりすぎない。
プレイ中の行い
- 過度なブレイク・イン・テンポ。考える場面になる前に考えておくのが理想だが……
- クレームできるときは速やかに。
- 貧乏ゆすり。
- 考える際に体を揺らすと思考がしやすいという人もいるが、それで他者をイラつかせてはいけない
- 前のハンドの話をしない。
- 時間をかけすぎない。制限時間はあなただけのものではない。
まとめ
ここに列挙したようなことは、ブリッジをプレイする上で知っていて当たり前のことばかりである。
知らなくてもプレイすることは可能だが、いざというときに知らなかったでは許されない。
少し関係ないことだが、そもそも口論をするような人とはパートナーを組むべきではない。
自分やパートナーは愚か、同席しているオポーネントまで不快にさせるのは良くないことだからである。
性格が気に食わない、プレイスタイルが合わない、など理由は様々だろうが
それならば最初から組むなということである。
ところで、ここでは触れなかったことだが日頃の行いにおいても最低限のマナーというものは存在する。
プロや講師など明らかに目上の人や、京都ローカルに来ていただく方々など、
(たとえ本心ではどう思っているにしろ)失礼な行為を行ってはならない。
これはあくまで一般常識である。親しき仲でも最低限の礼儀くらいはわきまえるように。
これは別に特定の誰かへの当てこすりとかじゃなくて、全員に対して言っていることをお忘れなく。
少なくとも数人に対して目に余る行為が見られている(個人的見解ではなく、そういった苦情が来たこともある)。
自分のことじゃないだろうと思って無視することなく、せめて心の端には覚えておくこと。
- 最終更新:2021-12-10 06:47:33